風の歌を聴く

健康で文化的な最大限度の生活

はじめに

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」

 

できるかぎり格好つけて勿体ぶった、この台詞で始まる小説からどうにも離れることができずにいる。どんな物語に触れても、どんな現実に直面しても。そして、自分だけの物語を書こうと思っても、いざ書こうとすると書きたいものが何なのかわからなくなってしまう。「僕」にとってそうであったように、この言葉は私を励ます。完璧な文章は存在しないのだから、無理に書こうとする必要などないのだ。それと同時に、この言葉はこうも言っている。完璧な文章は存在しないのだから、完璧でなくても書いていいのだ、と。これが私にとっての呪いだ。

堅苦しく書いたが、結局ブログを始めようと思ったきっかけは、ドラマ『カルテット』(2017年1〜3月、TBS系列)に見事にハマり、その『カルテット』について書いたとても興味深いブログを読んだからだ。ようするに、良いブログを読んで自分もブログを書きたくなっただけ。大学院生なんてものをやっていると、日々感じたことを他者と話す機会が少ない。これがなかなか寂しい。おいしかったごはんの話をする相手を見つけるにも一苦労だ。だから、代わりにここに書いてみる。

好きなものも、嫌いなものも、今だけのものだ。書けるものは、書けるうちに。